Aoyama Rena Cell Clinic 青山レナセルクリニック

よくある質問

幹細胞治療・再生医療についてよくいただくご質問にお答えします

このページの要点

  • 当院の幹細胞治療は脂肪由来の間葉系幹細胞(MSC)を用います。点滴した細胞の多くは肺にとどまって短命ですが、それでも効果が出るのは、細胞が分泌する成長因子(パラクライン/エンドクライン効果)と、細胞死をきっかけとした免疫の再教育という“二段構え”で働くためです。
  • この「分化して置き換えるのではなく、体内の環境を整える」という仕組みにより、膝・股関節などの整形外科領域から、糖尿病合併症・動脈硬化・肝機能、肌・薄毛・アトピー・EDまで、幅広い慢性炎症性疾患にアプローチします。
  • iPS細胞・ES細胞がまだ研究・治験段階であるのに対し、MSCは癌化リスクが低く安全性が確立しています。当院は再生医療等安全性確保法(2013年成立・2014年施行)に基づく第二種提供計画のもとで治療を行っています。

基礎知識・作用機序

幹細胞治療ではどのような種類の幹細胞が使用されますか?

当院の幹細胞治療では、安全性が高く組織修復能力に優れた「脂肪由来の間葉系幹細胞(MSC)」を採用しています。

間葉系幹細胞(MSC)とは

組織幹細胞の一種であり、脂肪・骨・軟骨・血管壁など、体内の様々な組織細胞の環境を整え、修復を促す能力を持つ希少な細胞です。当院では、他の組織(骨髄など)に比べて採取が比較的容易であり、組織量が豊富でお体に大きな負担をかけない「脂肪由来の間葉系幹細胞(ADSC)」を採用しています。

国際学会における最新のコンセンサス

従来の再生医療では「投与した細胞がそのまま別の細胞に化けて(分化して)組織を置き換える」と考えられていました。しかし近年の国際学会や日本再生医療学会では、この細胞の本質は細胞そのものが置き換わることではなく、「周囲の環境を劇的に整えるサポート細胞(Stromal Cell/間質細胞)」であるという見解が定説となっています。そのため、公式には「間葉系幹細胞」から「間葉系間質細胞」へと呼称が統一されつつあります。

幹細胞治療と幹細胞培養上清液治療(エクソソーム治療)の違いは何ですか?

最も大きな違いは「生きた細胞そのものを投与し、中長期的な免疫システムへのアプローチ(二段構えの作用)を行うか」か、「細胞が分泌した成分のみを投与し、短期集中的なアプローチを行うか」という点にあります。

幹細胞治療(MSC治療)

生きた細胞そのものを点滴や局所注射によって投与します。投与された細胞は、体内で数百種類もの成長因子やサイトカイン、エクソソームを動的に分泌(パラクライン効果)するだけでなく、役割を終えてアポトーシス(細胞死)を迎えた後、体内の免疫細胞(マクロファージ)に食べられることで、免疫システム全体を「抗炎症型・組織修復型」へと根本から再教育するという極めて重要な中長期作用を持っています。

幹細胞培養上清液治療(エクソソーム治療)

幹細胞を培養した後の液から、細胞成分を完全に取り除いた「分泌物のみ」を含んだ液体(セルフリー成分)を投与します。細胞そのものは含まれないため、アポトーシス細胞の貪食を介した中長期的な免疫調整作用(再教育)は期待できませんが、製造の標準化がしやすく、豊富な成長因子やエクソソームそのものによる短期集中的な組織保護・エイジングケア作用が中心となります。

「幹細胞コスメ(化粧品)」と、医療機関の幹細胞治療・培養上清液治療は何が違いますか?

両者は「法律上の分類」「届く深さ」「中身」が根本的に異なります。幹細胞コスメは法律上の“化粧品”であり、医療機関で行う幹細胞治療・幹細胞培養上清液治療は医師の管理下で行う“医療行為”です。

幹細胞コスメ(化粧品)

市販の「幹細胞コスメ」に、生きた幹細胞そのものは含まれていません(化粧品に生きた細胞を配合することはできません)。実際に配合されているのは、ヒトや植物(リンゴなど)の幹細胞を培養した際に得られる“培養液エキス”などの保湿・整肌成分です。作用する範囲は肌表面の角質層までで、化粧品として認められた範囲(うるおいを与える、キメを整えるなど)の日々のスキンケアが目的です。

医療機関の幹細胞治療・培養上清液治療

医療機関で行う治療は、生きた間葉系幹細胞(MSC)そのものや、細胞成分を取り除いて成長因子・エクソソームを豊富に含んだ幹細胞培養上清液を、注射・点滴などで体内(皮膚の深部や全身)に届けます。再生医療等安全性確保法などの法令と医師の管理のもとで行われ、化粧品では届かない真皮層やその先の微小環境にアプローチできる点が決定的に異なります。

つまり「幹細胞コスメ=肌表面を整える日々のスキンケア」「医療=医師の管理下で体内に働きかける治療」という位置づけであり、期待できる範囲や科学的な深さが大きく異なります。化粧品が医療と同等の再生効果を持つかのような表現には注意が必要です。

幹細胞を点滴すると、体の悪い部分に集まって治してくれる(ホーミング効果)というのは本当ですか?

実は、「投与したすべての細胞が患部に集まって直接治す」という表現は古い認識、あるいは極端な誇張です。実際の挙動はもっと賢く、ダイナミックなものです。

近年の国際的な研究により、静脈内(点滴)へ投与された間葉系幹細胞(MSC)の生体内でのリアルな挙動が明らかになっています。

大部分がまず肺にトラップされる

幹細胞のサイズ(平均15〜20㎛)は、肺の毛細血管の内径(5〜8㎛)よりも大きいため、投与後まず肺にキャッチ(捕捉)されます。血液循環をすり抜けて、本来の目的地(ターゲット組織)まで直接たどり着ける割合は、実際には数%未満(多くは1%以下)にすぎません。

現場に行かずに「遠隔」からアプローチする

では効果がないのかというと、全く逆です。肺に集結した幹細胞は、体内のダメージ部位から発せられる「炎症や損傷のシグナル」を敏感にキャッチして活性化します。そして、血液を介して遠隔地へ向けて大量の成長因子や抗炎症物質を放出する指令を出します(エンドクライン作用)。

現在、MSC療法の実態は「現場に行って直接細胞が入れ替わる」のではなく、「炎症の信号を受けて、遠隔から、あるいは自身の死を契機に体全体の治癒ネットワークを動かす」ものという理解が世界の定説となっています。

静脈注射(点滴)治療は、体の中でどのようなステップで効果を発揮するのですか?

「生きている細胞による即効性の環境整備」と「死んだ細胞による持続的な免疫再教育」という、驚くべき『二段構えの6つのステップ』で効果を発揮します。

第1ステージ:生きている幹細胞による即効性の効果

  1. Step 1:肺への集結とトラップ点滴されたMSCは、まずそのサイズ特性から肺の毛細血管に優しくキャッチされます。
  2. Step 2:遠隔へのアプローチ(パラクラインエンドクライン作用)肺に位置しながら、体内の微小環境(炎症シグナルなど)を感知し、数百種類もの成長因子やサイトカイン、エクソソームを動的に放出。血流に乗せて全身の慢性炎症を抑え、血管新生を促します。
  3. Step 3:短期間での役割終了(アポトーシス血管内には細胞が定着するための足場がないため、MSCは役目を終えると、短期間(24時間〜数日間)で美しくプログラムされた細胞死(アポトーシス)を迎えます。

第2ステージ:死んだ幹細胞による中長期的な効果(真実の作用機序)

  1. Step 4:免疫細胞(マクロファージ)の再教育ここに近年の再生医療研究における最大のハイライトがあります。アポトーシスを迎えたMSCの残骸を、体内の掃除屋である免疫細胞(マクロファージや単球)がバクバクと食べます(貪食)。これをきっかけに、マクロファージの性質は攻撃型(炎症促進)から、寛容型・抗炎症型(M2様マクロファージ)へと劇的に変貌します。
  2. Step 5:二次的な免疫応答の連鎖再教育されたマクロファージが抗炎症物質(IL-10やTGF-βなど)を放出することで、血液やリンパを通じて全身の他の免疫細胞にも「炎症を鎮めよう」という指令が連鎖的に拡大します。
  3. Step 6:制御型T細胞(Treg)による全身の炎症抑制最終的に、暴走した免疫を抑えるブレーキ役である「制御型T細胞(Treg)」が誘導・増殖され、全身の慢性的な炎症モードを強力に鎮め、組織が自発的に修復・再生しやすい環境を中長期的につくり出します。
「生きた細胞」と「死んだ細胞」のどちらが治療において重要なのでしょうか?

どちらか一方が優れているわけではなく、治したい疾患や目的によって、メインとなる役割のバランスが変わります。この2つが連動することこそが重要です。

治療のステージ主な役割・特徴期待される主な対象病態
第1ステージ:生きた細胞の分泌効果幹細胞が分泌する「成長因子やサイトカインの質と量」がダイレクトに影響する、即効重視・局所修復のアプローチ。迅速な組織修復や血管新生、局所の微小環境の整備が必要な病態(関節炎の初期、肌・毛髪再生など)。
第2ステージ:死んだ細胞の免疫再教育幹細胞の死を契機に、宿主(患者様自身)の免疫ネットワークを根本から変える、持続重視・全身寛容のアプローチ。自己免疫疾患、糖尿病合併症、動脈硬化症など、全身性の慢性炎症に起因する疾患。
幹細胞は、損傷した組織の炎症をどのように鎮め、修復を促進しますか?

幹細胞(MSC)は、組織に炎症や損傷が発生すると、炎症性サイトカイン(IL-6やTNF-αなど)のシグナルを敏感にキャッチして「休眠状態」から目覚め、活性化して活発に活動を始めます。

活性化したMSCは、強い創傷治癒効果を持つHGF(肝細胞増殖因子)やTGF-β(トランスフォーミング成長因子)などを大量に分泌します。これらの分泌物(パラクライン効果)が、損傷部位の細胞が死滅するのを防ぎ、周囲の細胞の生存環境を急速に整備することで、速やかに炎症を鎮めます。さらに、投与された細胞自体が寿命を迎えた後も、体内のマクロファージに食べられることで免疫系そのものを「組織修復モード」へと変貌させ、中長期的な組織の修復・再生を強力に主導します。

幹細胞治療は、体内の不要な細胞や老廃物の処理にどのように関与しますか?

投与されたMSCの多くは体内で短期間にアポトーシス(細胞死)を迎え、その残骸を免疫細胞(マクロファージや単球)が貪食して“老廃物として処理”するプロセスそのものが、治療効果の鍵を握ります。これは近年の再生医療研究で最大のハイライトとされる「真実の作用機序」です。

静脈内に投与されたMSCは、体内で長生きすることはなく、その多くが短期間でアポトーシス(細胞死)を迎えて「不要な細胞(残骸)」となります。一見、治療効果がないように思えますが、実はこの「死んだMSCの残骸を体内の免疫細胞(マクロファージや単球)が貪食(老廃物として処理)するプロセス」こそが、治療の鍵を握っています。

不要となったMSCをバクバクと食べたマクロファージは、その性質を「攻撃型(炎症を促す)」から「寛容型・抗炎症型(M2様マクロファージ)」へと劇的に変化させます。つまり、MSCは自らが老廃物として処理されることを通じて、体内の宿主免疫システムを再教育し、体全体の不要な炎症や老廃物の適切な処理、そして持続的な抗炎症・組織修復ネットワークを構築させているのです。

幹細胞が本来持つ再生能力を最大限に引き出すために、どのような働きをしますか?

幹細胞(MSC)の本来の再生能力とは、「自分が別の細胞に化ける(分化)」ことではなく、「数百種類もの成長因子やサイトカイン、エクソソームを放出して、生体内の環境を劇的に変えるシグナル伝達能力(間質細胞としての働き)」です。

MSCは、体内の微小な環境(炎症シグナルや機械的ストレスなど)に応じて、分泌する成分の量やバランスを動的に変化させます。また、生存している間の短期集中的な「パラクラインエンドクライン分泌」と、死滅した後の「マクロファージ再教育による宿主免疫コントロール」という二段構えの稀有なメカニズムを連動させることで、人間の体が本来持っている自然治癒力や組織再生能力を最大限に引き出し、体全体に好影響を及ぼす働きをしています。

幹細胞の種類によって、アプローチできる疾患に違いはありますか?

はい、幹細胞のルーツや種類によって分化能力やアプローチできる範囲には厳格な制限があります。

当院で使用する「間葉系幹細胞(MSC)」は中胚葉系の細胞であるため、脂肪・骨・軟骨・血管壁などの修復、および強力な免疫調節や炎症抑制(パラクラインエンドクライン効果)を得意としており、幅広い慢性炎症性疾患や血管障害、整形外科領域などで高い効果を発揮します。

しかし、ある程度分化が進んだ組織幹細胞であるため、ルーツが異なる「内胚葉系(膵臓など)」や「外胚葉系(脳の神経細胞など)」の細胞に生体内で直接分化することは不可能です。一方、iPS細胞やES細胞などの「多能性幹細胞」は、理論上あらゆる組織の細胞に分化できる万能性を持っていますが、癌化のリスクや倫理的課題などがあり、現段階では一般的な臨床普及には至っていません。

加齢によって幹細胞が減少すると、身体にはどのような影響がありますか?

生物学的な「老化」の本質は、これら環境維持を担う幹細胞(間質細胞)の減少と機能低下に他なりません。

幹細胞は年齢とともに劇的に減少します。生誕時には体内に約100億個存在すると言われる幹細胞ですが、年齢を重ねるごとに激減し、80代になると平均1億個未満(100分の1以下)になってしまいます。

体内の環境維持を主導する幹細胞が枯渇・老化すると、組織が日常的なダメージ(炎症や損傷)を受けた際に、それを鎮めるための成長因子の分泌(パラクライン機能)が致命的に不足します。その結果、体内の慢性炎症(インフラメイジング)が牙をむき、組織の修復が追いつかなくなることで、身体機能が低下する「フレイル(脆弱化)」や様々な生活習慣病・慢性疾患が加速することになります。

加齢による幹細胞の質や量の変化に対して、当院の治療ではどのように対応していますか?

当院の高度な培養技術により、外部から「十分な量」と「高い活性度」を維持した健全な間葉系間質細胞を補うことで、体内の修復ネットワークのスイッチを入れ直します。

お体の中では、未分裂の若い幹細胞と、慢性炎症や加齢によって機能が低下した「老化細胞」が共存しています。老化した細胞は分裂寿命が近づいており、パラクライン機能が著しく低下しています。

当院では、患者様から採取した脂肪組織から、より活性度が高く、炎症シグナルに対する感受性に優れた健全な細胞を、院内の厳格な品質管理のもとで選択的に培養します。加齢によって体内で枯渇し、働きが弱まった環境維持の主役(間葉系間質細胞)を、ベストな状態に引き上げてから体内にしっかりと補充することで、低下してしまった全身の炎症抑制機能や免疫調節ネットワークを力強く呼び覚まします。

幹細胞治療は「予防医療」としても役立ちますか?

はい、幹細胞治療は、病気になってから治す対症的な医療だけでなく、加齢に伴う機能低下や慢性疾患の発症を未然に抑える「予防医療」としての側面でも注目されています。

生物学的な老化の本質は、体内の環境維持を担う幹細胞(間質細胞)の減少と機能低下にあります。幹細胞は加齢とともに激減し、慢性炎症(インフラメイジング)を鎮める力が弱まることで、フレイル(虚弱化)や生活習慣病、血管障害などが進みやすくなります。

活性度の高い幹細胞を外部から補い、低下した炎症抑制・免疫調節ネットワークを呼び覚ますことは、こうした加齢性変化の進行をゆるやかにし、健康寿命を延ばすための土台づくりにつながると考えられています。また、最も若く元気な「今」のご自身の細胞を採取・保管しておく細胞保管は、将来の治療や予防に備える長期的な健康戦略としてご活用いただけます。

疾患・領域別の作用と効果

変形性膝関節症(または股関節症)の再生医療は、どのように効果を発揮(体内で作用)するのですか?

本質は「軟骨の物理的な置き換え」ではなく、関節内の深刻な「慢性炎症の停止」と「微小環境の劇的な改善」にあります。

従来の「投与した幹細胞がそのまま軟骨細胞に分化して定着し、すり減った軟骨そのものを物理的に置き換える」という通説は、近年の国際的な研究で否定されています。

関節内に直接投与されたMSC(間葉系間質細胞)は、強い創傷治癒効果を持つHGFやTGF-βなどの成長因子を大量に分泌(パラクライン効果)し、関節内の痛みの主原因である「滑膜炎(持続的な関節内の炎症)」を速やかに鎮め、これ以上の軟骨破壊を防ぎます。さらに、寿命を迎えたMSCの残骸を関節内のマクロファージが貪食することで、関節内の免疫環境が破壊・攻撃型から「組織修復・保護型(M2様マクロファージ)」へと劇的に再教育され、痛みの根本原因を沈静化させます。

変形性股関節症の再生医療で、どのような変化が期待できますか?

股関節まわりの慢性的な炎症が抑えられ、持続的な痛みの緩和と可動域の改善(QOL:生活の質の向上)が期待できます。

股関節の軟骨摩耗に伴う激しい痛みは、組織の擦れ合いそのものよりも、それによって引き起こされる「持続的な滑膜炎(関節内の炎症)」が主原因です。活性度の高いMSCを届けることで、その強力なパラクライン効果(炎症抑制因子や生存因子の分泌)が関節内の痛みのシグナルを直接鎮めます。さらにマクロファージの免疫再教育によって関節内が「修復に適したマイルドな環境」に整えられるため、日常生活での歩行、立ち上がり、階段の昇降時の痛みが緩和され、スムーズな動きを取り戻すサポートをします。

軟骨再生を目的とした幹細胞治療は、どのような症状の方に適していますか?

ヒアルロン酸注射などの保存療法では効果が実感できなくなってきた方や、人工関節置換術などの大がかりな手術を避けたい・先延ばしにしたい方に最適です。

特に、関節内の炎症が激しく痛みが慢性化しているステージの方ほど、MSCの持つ強力な炎症抑制作用(環境維持機能)の恩恵を受けやすいと言えます。ただし、関節が完全に変形・骨癒合(骨と骨がくっついてロックされている状態)してしまっているケースなど、症状の進行度合によっては適応外となる場合もあります。当院では専門医が画像診断(X線やMRIなど)をもとに、的確な適用評価を行っています。

変形性関節症で、人工関節置換術と幹細胞治療はどう違いますか?

両者は「目的」と「お体への負担」が大きく異なります。人工関節置換術がすり減った関節を人工物に“入れ替える”根治的な外科手術であるのに対し、幹細胞治療は関節内の“慢性炎症を鎮め、進行を抑える”ことを目的とした、手術を伴わないアプローチです。

人工関節置換術は、変形が進行して関節の機能が大きく失われたケースに対して確立された有効な治療ですが、入院や一定のリハビリ期間を要し、人工関節の耐用年数といった面も考慮が必要です。

一方、幹細胞治療(脂肪由来MSCの関節内投与)は、関節内の滑膜炎(持続的な炎症)を鎮め、これ以上の軟骨破壊を防ぐことで、痛みの緩和と進行の抑制を図ります。保存療法では効果が頭打ちだが手術は避けたい・先延ばしにしたいという方の選択肢です。ただし関節が完全に変形・骨癒合しているケースなどは適応外となるため、専門医が画像診断をもとに最適な方法をご提案します。

脳梗塞のリハビリ領域で、幹細胞(再生医療)はどのように研究されていますか?

脳梗塞などの脳神経領域における幹細胞治療は、世界的に研究・臨床試験が進められている分野であり、一般的な民間クリニックで確立された治療として提供される段階には至っていません。当院でも現時点で脳梗塞そのものを対象とした治療メニューは設けておらず、ここでは作用の考え方をご説明します。

間葉系幹細胞(MSC)は、損傷部位から発せられる炎症シグナルに反応し、神経保護・血管新生・抗炎症に関わる成長因子やサイトカインを分泌します(パラクラインエンドクライン効果)。急性期〜亜急性期には、この“生きた細胞による分泌”が、損傷の拡大を抑え、組織が回復しやすい微小環境を整える方向に働くと考えられています。

ただし、効果や安全性、最適な投与時期については大学・研究機関による臨床試験で検証が続いている段階です。脳梗塞後のリハビリは現在も標準治療(急性期治療・リハビリテーション)が中心であり、再生医療を検討される場合は必ず専門医療機関にご相談ください。

脊髄損傷に対する再生医療は、どのような状況にありますか?

脊髄損傷は再生医療が特に期待される領域のひとつですが、現在も研究開発と、限られた制度のもとでの提供が中心の段階です。日本では、自己の骨髄由来間葉系幹細胞を用いた特定の再生医療等製品が条件付きで承認された例がありますが、これは厳格な要件を満たす医療機関で行われるもので、一般的な自由診療として広く提供されているものではありません。当院では脊髄損傷を対象とした治療は行っておりません。

作用の考え方としては、MSCが分泌する神経栄養因子や抗炎症因子(パラクライン効果)が、損傷後に二次的に広がる神経細胞の死(アポトーシス)や炎症を抑え、残された神経機能を保護する方向に働くと研究されています。

効果・安全性・適応時期は臨床研究で検証が続いており、治療を検討される際は、対象疾患の実績を持つ専門医療機関で、リスクとエビデンスについて十分な説明を受けることが重要です。

糖尿病の合併症予防に、幹細胞治療はどのように役立ちますか?

高血糖状態が引き起こす全身の微小血管の「持続的な慢性炎症」と「血管破壊」の悪循環を断ち切るために作用します。

糖尿病の恐ろしい合併症(網膜症、腎症、神経障害など)の根本原因は、血管壁が慢性炎症によって傷つき、破壊されることにあります。

点滴によって血流に乗ったMSC、あるいはアポトーシス後に全身の単球やマクロファージに貪食されたMSCは、全身の免疫ネットワークを「抗炎症型」へとシフトさせ、血管の周囲でくすぶる慢性炎症を劇的に鎮めます。さらに、MSCが分泌するVEGF(血管内皮細胞増殖因子)などの強力な血管新生作用により、破壊された血管の周囲に新たな側副血管(バイパス)を新生させ、周辺組織への酸素や栄養供給ルートを確保します。これにより、進行性の合併症を未然に防ぐ、あるいは進行を極めてマイルドに抑えるための環境整備を行います。

糖尿病合併症予防を目的とした幹細胞治療は、どのように行われますか?

患者様ご自身の脂肪組織から採取・培養した、活性度の高いMSCを点滴(静脈投与)によって全身へ届けます。

投与された細胞は、体内の炎症シグナルに反応し、生存している短い期間に全身に向けて様々な抗炎症因子や血管保護因子を活発に放出します(エンドクライン効果)。さらに、役割を終えてアポトーシス(細胞死)を迎えたMSCが全身の単球やマクロファージに処理される過程で、宿主の免疫系が「組織修復・炎症抑制モード」へと再教育され、中長期にわたって全身の血管壁を保護する環境を維持します。治療自体は外来での点滴のみで完了するため、お体に大きな負担はありません。

糖尿病をお持ちの場合、幹細胞治療を受ける上での注意点はありますか?

幹細胞治療は、現在受けていらっしゃる標準的な血糖コントロール治療(食事・運動療法、インスリン、内服薬)を完全に置き換えるものではありません。

あくまで、高血糖によって生じる全身の「慢性炎症・血管障害」からお体を強力に保護・サポートするための高機能な併用療法(再生医療)に位置づけられます。また、糖尿病によって長年強い慢性炎症に晒されている患者様の体内では、元々持っているご自身の幹細胞自体もダメージを受けて老化が加速している傾向があります。そのため、治療の際には当院の高度な培養技術によって、細胞の活性度や品質(パラクライン機能)を厳格に引き上げた状態のMSCを準備して投与することが、十分な効果を出すための鍵となります。

動脈硬化の再生医療では、具体的にどのような治療が行われ、どう作用しますか?

点滴によって全身の血管内へMSCを届け、カテーテルなどの局所治療とは異なり、全身の血管壁の炎症部位へ同時にアプローチします。

動脈硬化は、血管壁にコレステロール等が溜まって慢性炎症が起き、壁が厚く硬くなる病気です。MSCを点滴投与すると、細胞が血管内を循環しながら、炎症が生じているあらゆる部位にアプローチします。MSCの分泌因子によって狭窄(狭く硬化)した血管の周囲に新たなバイパス(側副血管)を新生させて血流を確保すると同時に、免疫再教育によって血管壁のプラーク(塊)を安定化・沈静化させ、血管が破れるリスク(脳梗塞や心筋梗塞の引き金)を根本から抑えるアプローチを行います。

肝機能の改善に幹細胞治療はどのような作用が期待できますか?

傷ついた肝細胞(実質細胞)の死滅を抑制し、破壊された組織の線維化(硬化)を防ぐ環境を整えます。

肝臓の大部分は、代謝や解毒を担う「肝細胞(実質細胞)」で構成されていますが、慢性的な炎症が続くと機能低下や線維化(組織が硬くなる現象)を起こします。MSC治療を行うと、間質細胞本来の役割である「実質細胞のサポート機能」が強力に働きます。MSCが分泌するHGF(肝細胞増殖因子)やTGF-βは、傷ついた肝細胞のアポトーシスを抑制し、生存環境を劇的に整備します。慢性炎症の悪循環を断ち切ることで、肝機能の根本的な改善と健康な組織の維持をサポートします。

肌の再生医療(シワ・たるみ)や自家培養線維芽細胞移植術は、どのように作用しますか?

異物で物理的に膨らませる治療とは異なり、衰えた肌細胞を取り囲むスキン環境(肌内部の微小環境)を根本から作り直します。

脂肪由来MSC(間葉系間質細胞)アプローチ

活性度の高いMSCを肌組織へ直接、または点滴によって届けます。MSCが放つ数百種類もの成長因子パラクライン効果)が、肌の土台となるコラーゲンやエラスチンを産生する「線維芽細胞」を強力に刺激し、活動を活性化させます。肌老化の主犯である微細な炎症を鎮め、ハリや弾力のある若々しい肌の自活力を引き出します。

自家培養線維芽細胞移植術

患者様ご自身の耳の後ろなどから安全に採取した線維芽細胞を、当院の院内CPCにて安全に数十倍〜数百倍に増殖・培養し、活性の高い状態でエイジングが気になる部位(目の下、ほうれい線、首など)へ直接補充します。肌の土台そのものを増やすため、数ヶ月かけてキメ、自然なハリ、潤いが戻るという、極めてナチュラルで持続的な若返り効果を実感していただけるのが特徴です。

肌の再生医療は、治療後どのような経過をたどりますか?

一般的なヒアルロン酸注入やボトックスのように「異物で物理的にシワを膨らませる、または筋肉を止める」治療ではないため、直後に劇的な変化が起きるわけではありません。

投与されたMSC(間葉系間質細胞)のパラクライン効果により、数週間から数ヶ月をかけて肌内部の微小環境がじわじわと整えられ、ご自身の線維芽細胞が再び元気を取り戻していきます。そのため、数ヶ月かけて「肌のキメが細かくなってきた」「全体的に自然なハリや潤いが出てきた」「シワやたるみが目立たなくなってきた」といった、非常にナチュラルで持続的な若返り効果を実感していただけるのが特徴です。

薄毛に対する毛髪再生治療は、どのような作用で効果を発揮しますか?

頭皮の微小な慢性炎症を鎮め、毛根の周囲にある血管環境を劇的に改善してヘアサイクルを正常化させます。

薄毛(AGAや女性の薄毛)が進行している頭皮では、微小な慢性炎症が起きており、毛根への血流が著しく滞っています。ここにMSC(または豊富な成長因子やエクソソームを含んだ幹細胞培養上清液)によるアプローチを行うと、強力なVEGF(血管内皮細胞増殖因子)の分泌作用により、頭皮の毛細血管が新しく作られ、血流が劇的に確保されます。毛包(髪の毛を作る工場)に十分な栄養と炎症抑制シグナルが行き渡ることで、短くなっていたヘアサイクル(毛周期)を正常化させ、太く健康な毛髪の発育を促します。

アトピー性皮膚炎の幹細胞治療は、体内でどのように作用しますか?

暴走している免疫の過剰な攻撃を抑制し、崩れた「免疫のバランス(寛容)」を正常な状態へと戻します。

アトピー性皮膚炎などのアレルギー・自己免疫疾患の本質は、本来体を守るはずの免疫システムが過剰に活性化し、自分の皮膚を攻撃してしまう慢性炎症にあります。

当院のMSC治療は、一律に免疫を遮断するステロイド治療とは異なります。MSCが分泌するTGF-βやHGF、IL-10といった因子(パラクライン効果)が、過剰に暴走しているT細胞などの免疫細胞を強力に抑制します。さらに、寿命を迎えたMSCがマクロファージに貪食されることで、免疫細胞自体を過剰な攻撃を行わない「抗炎症・組織修復型」へと根本から再教育し、皮膚のかゆみや赤みの根本原因を鎮静化させます。

幹細胞治療とステロイド治療では、期待できる作用にどのような違いがありますか?

免疫システムを「無差別に、かつ強制的に遮断(シャットダウン)するか」、あるいは「免疫のバランスを賢く修復型へ再教育(シフト)するか」という根本的な違いがあります。

ステロイド治療

非常に強力に炎症を抑えますが、免疫全体を強制的に抑制するため、長期使用によって易感染性(感染症にかかりやすくなる)や骨粗鬆症、皮膚が薄くなる(菲薄化)といった深刻な副作用のリスクを伴います。

幹細胞治療(MSC治療)

免疫を単に弱めるのではなく、過剰な暴走をコントロールする「寛容」を主導します。一律の免疫遮断による深刻な副作用を回避しながら、健康な免疫システムを崩さずに慢性炎症を鎮静化させることが可能です。そのため、ステロイド治療で効果が頭打ちになった難治性の症状に対する新たな選択肢として期待されており、主治医の管理のもとでステロイドの投与量を徐々に減量していく(ステロイド・テーパリング)ための強力なサポートとしても活用されています。

ステロイド治療で改善が難しい症状にも、幹細胞治療は適用できますか?

はい、検討・適用は十分可能です。慢性炎症や自己免疫性疾患では、ステロイド治療を長期間続けることで、効果が弱くなる、あるいは副作用のため増量が難しくなることがあります。当院のMSC治療は、ステロイドとは異なる仕組みで、分泌因子の働きとマクロファージの再教育を通じて炎症を抑えます。そのため、ステロイド治療で効果が頭打ちになった慢性炎症、関節炎、難治性の症状に対しても、新たな選択肢として期待されています。

ステロイド治療を受けている場合でも、幹細胞治療を検討することは可能ですか?

はい、十分に可能です。現在受けていらっしゃるステロイド治療を急に中止することなく、並行して治療の計画を立てることができます。

むしろ、MSC治療を組み合わせることで体内の慢性炎症環境や免疫バランスが「修復モード」へと改善されれば、主治医の管理のもと、これまで減らすことが難しかったステロイドの投与量を徐々に減量していく(ステロイド・テーパリング)ための強力なサポートとして再生医療を活用していただくことが期待できます。治療の開始にあたっては、現在のステロイドの服用状況を詳しくお伺いした上で、安全なシークエンスを組み立てます。

EDの再生医療(勃起不全・低下)では、どのような治療法があり、どのように作用しますか?

バイアグラなどの一時的な対症療法とは異なり、陰茎海綿体内の「微小血管」と「神経環境」を根本から再構築(サポート)する治療です。

当院では、患者様ご自身の脂肪由来MSCを局所投与(または点滴投与)します。MSCが持つ強力な血管新生作用(VEGFの分泌)や神経保護・修復因子により、加齢や動脈硬化、糖尿病の慢性炎症によってダメージを受け狭窄していた陰茎海綿体内の微小血管の周囲に、新たな血流のバイパスを新生させます。

さらに、寿命を迎えたMSCが局所のマクロファージに貪食されることで、組織全体の環境が修復モードへと劇的に再教育され、勃起に必要な一酸化窒素(NO)を産生する内皮細胞や神経系の自活力を根本から呼び覚まします。治療後1〜3ヶ月をかけて「朝立ちの頻度が増えた」「薬に頼らなくても反応するようになった」「中折れが減った」といった、ご自身の本来の機能が蘇るような本質的な改善プロセスを実感していただけます。

EDの再生医療は、治療後どのような経過をたどりますか?

バイアグラなどのED治療薬(PDE5阻害薬)のように「一時的に血管を拡張させてその時だけ強制的に勃起させる」対症療法ではないため、投与直後に劇的な変化が起きるわけではありません。

投与されたMSC(間葉系間質細胞)のパラクライン効果や、アポトーシス細胞を貪食した免疫細胞の再教育によって、数週間から数ヶ月をかけて陰茎海綿体内の血管環境や神経組織の微小環境がじわじわと修復・整備されていきます。

一般的な経過としては、治療後1〜3ヶ月をかけて「朝立ちの頻度が増えてきた」「ED治療薬の効きが以前より良くなってきた(または薬に頼らなくても反応するようになってきた)」「中折れが減り、持続力や硬さに変化を感じるようになってきた」といった、ご自身の本来の機能が蘇るようなナチュラルで本質的な改善プロセスを実感していただけるのが特徴です。組織の環境維持機能を高める根本的なアプローチであるため、一度改善された効果は長期間持続しやすいというメリットもあります。

他の幹細胞(iPS細胞・ES細胞)との比較

iPS細胞とES細胞は、どのような点で異なっていますか?

主に「細胞の作製方法(生命の源を破壊するか否か)」と「免疫拒絶・倫理面のリスク」が異なります。

ES細胞(胚性幹細胞)

受精卵が分裂を開始してできた「胚(生命の卵)」の内側にある細胞を取り出して人工的に培養したものです。あらゆる組織に分化できる多能性を持ちますが、他人の細胞であるため投与時に免疫拒絶のリスクがある点、そして生命の源である「胚」を破壊して作るため倫理的な問題が残ります。

iPS細胞(人工多能性幹細胞)

患者様ご自身の皮膚や血液などの体細胞に、特定の遺伝子(リプログラミング因子)を導入して人工的に万能性を持たせたものです。自身の細胞から作れるため倫理的問題や免疫拒絶のリスクがない点が極めて画期的です。

再生医療の現場では、iPS細胞やES細胞はどのように活用(実用化)されていますか?

現在、iPS細胞やES細胞は大学病院や特定の研究機関による先進的な臨床研究、および製薬企業による治験の段階(研究段階)にあり、一般的な民間クリニックの自費診療で安全に投与できる段階にはありません。

理論上は非常に優れた多能性(万能性)を持つものの、「大量培養の難しさ」「品質の均一な再現性」、そして最大の懸念である「腫瘍化(癌化)のリスクの完全な制御」といった多くの技術的・科学的課題をクリアする必要があり、世界的な臨床普及を待っている段階です。そのため、現在の日本の一般的なクリニックで広く実用化されている再生医療の現場(安全性確保法の枠組み)では、癌化リスクが極めて低く安全性が確認されている「組織幹細胞(間葉系幹細胞/間葉系間質細胞)」が主役として安全に活用されています。

iPS細胞やES細胞による治療は、現在どのような段階にありますか?

現段階では、世界的な臨床普及には至っていません。

理論上は非常に優れた多能性(万能性)を持つものの、「腫瘍化(癌化)のリスクの完全な制御」「大量培養技術の確立」「品質の均一な再現性」といった多くの技術的・科学的課題をクリアする必要があり、現時点では世界的なスタンダードとしての臨床普及を待っている、研究・治験段階にあります。

安全性・法律・国のルール

再生医療の提供には、どのような国のルールがありますか?

日本国内において、クリニックが自費診療(自由診療)などで再生医療を提供する際には、2013年に成立し2014年に施行された「再生医療等安全性確保法」という厳格な法律を遵守しなければなりません。

この法律のもと、治療に使用する細胞の安全性や加工プロセスについて、厚生労働省が認めた「特定認定再生医療等委員会」による厳しい審査を受け、承認を得る必要があります。その後、厚生労働省へ正式に「再生医療等提供計画」を届け出て、受理されて初めて患者様への治療提供が可能となります。

「第二種再生医療等提供計画番号」とは何ですか?

厚生労働省に届け出た再生医療の提供計画が、安全性確保法に基づき正式に受理された際に発行される「国からの認可番号」です。

当院をはじめ、日本国内で脂肪由来の間葉系幹細胞(MSC)治療を提供するすべてのクリニックは、この「第二種再生医療等提供計画」を提出し、受理されています。

ただし、現在日本の多くのクリニックの提供計画は、過去の古い通説のまま「間葉系幹細胞を用いた治療」というタイトルで受理・浸透していますが、科学的実態は「間葉系間質細胞」の働きによるものであるという国際的なギャップ(捻じれ現象)が生じています。当院は、この国が定めた厳格な手続き(計画番号の取得)をすべてクリアした上で、その作用機序の「科学的真実」を患者様に誠実にお伝えしながら治療を行っています。

幹細胞治療の副作用やリスクには、どのようなものがありますか?

幹細胞治療で起こりうる主なリスクは、注射部位の一時的な痛み・赤み・腫れ・内出血などの局所反応で、いずれも一般に軽度かつ一時的です。自家細胞の使用と厳格な無菌管理により、拒絶反応・感染症・腫瘍化(癌化)のリスクは極めて低く抑えられています。以下に、起こりうるリスクと当院の対策を誠実に開示します。

一般的な局所反応

関節内注射など局所投与を伴う場合は、一般的な針穿刺と同様に、注入部位の一時的な痛み、赤み、腫れ、あるいは内出血などの局所反応が起きる可能性がありますが、通常は数日から数週間で自然に軽快します。

アレルギー・拒絶反応のリスク

当院の治療で使用するMSCは、患者様ご自身の脂肪組織から採取・培養した「自家細胞」であるため、他人の細胞(同種ドナー)で懸念されるような拒絶反応や重度のアレルギーを回避できます。

感染症のリスク

細胞は厚生労働省の基準に準拠した最高水準の無菌環境(院内CPC)において、厳格なスクリーニングと無菌試験を経て培養されるため、感染症のリスクは極めて低く抑えられています。

長期的な安全性(癌化リスクの回避)

間葉系幹細胞(MSC)は、もともと体内に存在する組織幹細胞(間質細胞)であり、iPS細胞のような「腫瘍化(癌化)のリスク」やES細胞のような倫理的懸念がありません。2000年前後から国内外で膨大な臨床実績が蓄積され、高い安全性が確認されているアプローチです。

幹細胞治療に「癌化(がん化)」のリスクはありますか?

当院が用いる間葉系幹細胞(MSC)は、もともと体内に存在する組織幹細胞(間質細胞)であり、腫瘍化(癌化)のリスクは極めて低いと考えられています。

「ほぼ無限に増殖し、あらゆる細胞に分化できる」iPS細胞やES細胞(多能性幹細胞)では、理論上の腫瘍化リスクを完全に制御することが課題とされ、現在も研究・治験段階にあります。一方でMSCは、分化できる範囲が限られた組織幹細胞であり、無限に増殖する性質を持ちません。2000年前後から国内外で膨大な臨床実績が蓄積され、高い安全性が確認されています。

加えて当院では、厚生労働省の基準に準拠した院内CPC(細胞培養加工施設)において、細胞の品質・数・無菌性を厳格に管理したうえで投与しています。なお、いかなる医療行為にもリスクが完全にゼロということはないため、治療前には起こりうるリスクについて十分にご説明し、ご納得いただいたうえで進めます。

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参考文献・学術的背景

以下は本ページで触れる作用機序および制度に関する、学術論文・公的情報の参照先です。これらは再生医療一般の科学的背景・制度を示すものであり、当院における個別の治療効果を保証・証明するものではありません。

作用機序(学術論文)

  • 肺トラップ・短命 Eggenhofer E, et al. Mesenchymal stem cells are short-lived and do not migrate beyond the lungs after intravenous infusion. Front Immunol. 2012;3:297. 原典を見る ↗
  • 肺ファーストパス Fischer UM, et al. Pulmonary passage is a major obstacle for intravenous stem cell delivery. Stem Cells Dev. 2009;18(5):683-692. 原典を見る ↗
  • アポトーシス起点の免疫調整 Galleu A, et al. Apoptosis in mesenchymal stromal cells induces in vivo recipient-mediated immunomodulation. Sci Transl Med. 2017;9(416):eaam7828. 原典を見る ↗
  • アポトーシスの役割(総説) Weiss DJ, et al. Emerging understanding of apoptosis in mediating mesenchymal stem cell therapy. Cell Death Dis. 2021;12:565. 原典を見る ↗
  • 貪食による免疫抑制型化 Cheung TS, et al. Efferocytosis of viable versus heat-inactivated MSC induces human monocytes to distinct immunosuppressive phenotypes. Stem Cell Res Ther. 2023;14:265. 原典を見る ↗
  • パラクライン(栄養因子)作用 Caplan AI, Dennis JE. Mesenchymal stem cells as trophic mediators. J Cell Biochem. 2006;98(5):1076-1084. 原典を見る ↗
  • 呼称(Stromal)に関する見解 Viswanathan S, et al. Mesenchymal stem versus stromal cells: ISCT MSC committee position statement on nomenclature. Cytotherapy. 2019;21(10):1019-1024. 原典を見る ↗

制度・法令(公的情報)

  • 安全性確保法 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)/ e-Gov法令検索 原典を見る ↗
  • 関係法令 厚生労働省「再生医療等について(関係法令等)」 原典を見る ↗
  • 提供計画の提出 厚生労働省「再生医療等提供計画の提出等について」 原典を見る ↗
  • 認定再生医療等委員会 厚生労働省「認定再生医療等委員会について」 原典を見る ↗